司法書士に頼みやすい裁判手続は?【裁判手続】

餅は餅屋(訴訟は弁護士!?)

裁判手続きを司法書士が取り扱えることは、前回のブログでもお伝えしました。

 

では、訴訟を含む裁判手続きは、全部費用の安い司法書士に頼めばいいじゃん

・・・とここだけ強調してしまうと、弁護士さんからお叱りを頂きそうですが・・・

 

これは、はっきりと申し上げます。やはり、餅は餅屋。言うまでもなく、弁護士さんは訴訟のプロです訴訟は、弁護士さんに依頼するにこしたことはありません。弁護士さんであれば、訴訟物の価格を問わず、全ての手続きを丸投げできます。なんの心配もいりません。全く、事前の知識(どういう訴訟、裁判手続きになるのか、相手が出てくるのかどうか、証拠は揃っているか・・・など)が無くても、とにかく弁護士さんに頼めばやってくれます。だから、それなりの費用がかかるのです。

では、どんな裁判手続きなら司法書士に頼みやすいの??

じゃ、司法書士が裁判手続きできますって言っても意味ないよね?

 

こんなお声が聞こえてきそうですが・・・

 

ちょっと、お話聞いてもらえますか!

(おそらく、最初から弁護士さんに依頼しようとされる方は、そもそもこんな司法書士のブログを見ないはずです・・・笑)

 

このブログを読んで頂いている方の本音としては、

 

「いやいや、弁護士とかましてや司法書士に頼まなくても、ほんとは自分で安くやりたいんだよね。」とか、「弁護士とかの報酬って高すぎるんだよ-。」とか。

 

そんな感じだと思います。

 

そこで、「こういう訴訟なら、ご自分で訴訟をできそうだ。」とか「司法書士にちょっとだけ手助けしてもらえば、楽に(←ここポイントです)安くできそうだ。」という訴訟を挙げてみます。

ずばり、相手が出てこない訴訟(相手が争わない・行方不明)

相手が争わないことが確実な場合とか、そもそも行方不明で請求すらもできないような場合など(行方不明の場合は、そのことを証明する必要がありますが)完全に勝訴できる案件は、本人、または司法書士に書面作成(140万円以下なら代理でも)で費用を抑えて訴訟をしたほうが賢いです。

 

例えば、

「建物明渡の訴訟」借り主が賃料未払いを認めている・借り主が行方不明など

は、司法書士に向いている訴訟といえます。

司法書士は、裁判所提出書類まで作成できますから、強制執行の申立もお任せいただけますよ

 

本人訴訟でも可能です。ただし、裁判所に足を運んだり、書類を受け取ったり、ということが必要にはなります。相手が行方不明の場合は、調査をした上で、「公示送達の申立」をしなくてはなりません。ご本人で、これを一から調べてやろうと思うと、手間暇はかかります。そんな時には、司法書士が役立つと言えます。

 

→当事務所でも力を入れています。建物明渡訴訟についてはこちら。

 

証拠が揃っている訴訟

これも、全面勝訴ができますから、本人訴訟や司法書士に依頼するのに向いている訴訟です。

 

例えば、

「貸金返還訴訟」借用書や、それに伴う資料(借り主の印鑑証明書や保証人の印鑑証明書など)が貸し主の手元に残っている場合

このように、確実な証拠が揃っていれば、相手が「借りていない」などと反論してきても、勝てる訳です。

簡易裁判所の訴訟(少額訴訟含む)

前回ブログでもお話しした、認定司法書士は簡易裁判所の代理権を持った司法書士です。つまり、丸投げをしてもらうことも可能です。弁護士さんももちろん、簡易裁判所の代理もしますが、着手金などの費用が少ないなどの理由から敬遠する弁護士さんもいるようです。司法書士は、そういった少額の訴訟を一般の方に気軽に利用していただくお手伝いをしていますので、簡易裁判所の訴訟は司法書士に依頼しやすい訴訟です。

 

ただし、後ほど述べますが、簡易裁判所の訴訟でも、弁護士さんにお任せしたほうが良いかな、と思われる訴訟もあります。

「訴訟」以外の裁判手続き

上記では、あくまでも「訴訟」ということでお話してきました。

 

「訴訟」ではない、裁判手続きもたくさんあります。つまり、相手があってもこちらから一方的な手続きをするものや、そもそも相手のない手続きです。

 

例えば、 

・家庭裁判所の審判手続き全般

・破産等の債務整理手続き全般

・民事執行手続き全般

 

具体的には、

・相続放棄の申立、成年後見開始の申立、氏の変更許可申立、特別代理人選任申立

・破産手続き、民事再生手続き

・強制執行(不動産執行・債権執行)・・・等です。

 

これらは、裁判所に提出する書類作成がきちんとなされていれば大丈夫です。この、裁判所に提出する書類作成業務は司法書士の業務として認められていますもちろん、全て弁護士に代理してもらうこともできますが、相手との争いを前提としないので、司法書士に書類作成してもらう、といった方法でも特に問題が生じることはありません。

 

司法書士ではなく、弁護士さんに依頼したほうが良い訴訟

関係者(当事者・証人)の尋問を必要とする訴訟

明確な証拠がない場合や、証拠があっても当事者の主張に隔たりがある場合など、関係者の尋問が行われることがあります。

 

つまり、相手も争う姿勢を見せており、こちらも必ずしも明確な証拠もなく、主張をしなくてはならない場合やこじれそうな場合は、尋問が行われる可能性も高いですから、弁護士さんに依頼するほうが無難です。

 

当事者(本人・相手方)尋問の場合は、双方の代理人が質問をします。裁判は百戦錬磨の弁護士でも、尋問は緊張するといいます。このような訴訟は、経験を積んだ弁護士に依頼するのが良いでしょう。

 

なお、簡易裁判所は通常尋問が行われないことが多いのですが、交通事故の裁判など、少額でも実際尋問が行われたりもします。状況証拠しかなく、お互いが食い違う主張をすることが多いのが交通事故の訴訟では多いからです。

 

なお、現在では自動車の保険に弁護士特約をつけていらっしゃることが多いので、すぐ訴訟になることが多いです。(このような場合は弁護士に代えて司法書士をわざわざ依頼しないと思いますので、あまり関係ない話ですね。)

高い専門性を必要とする場合

特許訴訟、医療過誤訴訟、児童虐待など児童福祉に関わる訴訟、など高い専門性を必要とする訴訟は、取り扱いをしている弁護士も限られます。このような訴訟は、専門的に取り扱っている弁護士に依頼すべきです。

司法書士に頼めるかよくわからない場合は、とりあえず連絡を!

以上、ざっと司法書士に依頼できるかどうかの判断材料を示しましたが、よくわからない場合は司法書士事務所に連絡してみることです。

 

訴訟となれば、何度か打ち合わせが必要になってきますから、ご自宅から行きやすい事務所で、信頼できそうな司法書士(弁護士)を見つけてください。大きくて、宣伝をたくさんしているから、というよりも、事務所のブログや、実際にお問合せ頂いて、司法書士(弁護士)本人と直接お話ししてみるのが一番です。

 

当事務所は個人の事務所ですので、私、司法書士前田本人がご依頼者様のお話しにじっくりお耳を傾けるよう、また、ゆっくりとお話しをお聞きするよう、心がけております。

選択肢の一つにしていただき、お役に立てましたら、幸いです。