遺産相続手続は、亡くなった方(被相続人)の遺した財産を、相続できる人(相続人)が引き継ぐ手続きです。
つまり①相続人の確定+②相続財産(金額も特定)をまず始めにすることが最も大切です。
場合によっては、相続税の申告(相続税課税対象者は、10ヶ月以内に税務署に申告し、相続税を支払う)が必要となりますので、これらの確定は速やかに行うべきです。
では、どのような流れで進めて行けばいいのか、確認しましょう。
遺産相続手続きをする際の、注意点・対処法などのポイントの詳細の解説をしていますので、あわせてご確認ください。
【被相続人の死亡(=この時点から相続は発生します)】
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1●相続人の調査・確定|戸籍等の取得をします
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2●遺言書の有無を確認|自宅などを捜索します
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3●相続財産の調査・確定|通帳・不動産の権利証・株券・郵便物を手がかりに
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4●相続放棄・限定承認の手続き|3ヶ月の期限に注意
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5●遺産分割協議|相続人全員の参加が必要
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6●名義変更(不動産の相続登記等)の手続き|速やかに手続きを行いましょう
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7●相続税申告・納税の手続き|10ヶ月以内に申告・納税をする必要があります。
相続が発生した時に相続できる人は法律で定められています。また、相続できる割合も法律で定められています。(法定相続人)
●常に相続人になる人・・・配偶者
・配偶者がいる場合は常に相続人となります。(第1順位~第3順位がいる場合は、その者と一緒に常に相続人となります。)
●第一順位・・・子(子が亡くなっている場合は孫。孫も亡くなっている場合はひ孫。※)
・配偶者と共に相続する場合は、配偶者が2分の1、子が2分の1となります。
・養子も実子と同じ相続分です。また、平成25年の民法改正により、非嫡出子(法律上婚姻関係のない男女間に生まれた子)の相続分も実子などの嫡出子と同じ相続分となりました。
・子が2人以上いる場合は、子の相続分を等分します。
●第二順位・・・直系尊属(父母。父母が亡くなっている場合は祖父母など。)
・子がいない場合に第二順位の父母等が相続します。
・配偶者と共に相続する場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1となります。
・養親も実親と同じ相続分です。
●第三順位・・・兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥、姪。)
・子も直系尊属もいない場合に第三順位の兄弟姉妹が相続します。
・配偶者と共に相続する場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
※代襲(だいしゅう)相続
第一順位である子が相続人より先に亡くなっている場合は、孫が子に代わって相続することを代襲相続といいます。孫も先に亡くなっている場合はひ孫が相続します(再代襲相続。)
不動産の相続登記をする際や、遺産分割協議、相続放棄、金融機関での預貯金の相続手続き等、あらゆる相続手続きにかかせないのが、相続人の調査です。相続人の調査は主に戸籍を収集することで特定していきます。
相続手続きに必要となる戸籍というのは、原則、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を収集する必要があります。この戸籍は、区役所などで全て揃うか、というと必ずしもそうではありません。
なぜなら、戸籍というのは、転籍や婚姻、また法律の改正により新しく作り替えられます。つまり、死亡実際の収集方法としては、死亡の記載がある戸籍を取得し、そこからさかのぼって出生までをたどっていく=「戸籍の内容を読み解く作業」が必要となってきます。
当事務所では、極力ご依頼者様にご負担をおかけしないよう、戸籍の収集も代行させていただいておりますます。もちろん、ご自分での収集も可能ですが、平日に役所に出向く手間や、郵送によっても余分なものを取ってしまう、もしくは不足してしまう、など二度手間になってしまい、結果的に多くの手数料がかかってしまうこともございます。司法書士にお任せいただければ、そのような無駄もございません。
戸籍収集については、素早く、一番無駄のない方法で収集いたします。
遺言の有無によって、相続手続き方法が変わってきますので、遺言書があるかどうかを調べることは重要です。
亡くなった方が遺言を作成していない、と思っていても、知らないうちに遺言書を作成している場合があります。自宅で大事な物を保管してあった場所や、施設に入られていた方はその施設にも問い合わせてみましょう。また、貸金庫の契約がある場合は、確認してみてください。
また、公正証書遺言を遺していた場合は、相続人等の利害関係人(及び代理人)が公証役場に検索をかけることで、遺言の有無を確認することができます。
(ただし、次のような条件はあります。)
①昭和64年1月1日以後公正証書で遺言をされた方のデータに限る。
②遺言をされた方が亡くなられた後、相続人等の利害関係人が、除籍謄本等によって遺言者が亡くなられた事実及び問い合わせ人が法律上利害関係を有することを証明した場合に限る。
亡くなった方が遺言を遺していると原則として遺言の内容どおりの相続手続きをする必要があります。本当はあるのに、無いものとして相続手続きを進めてしまうと、争いの元になったり、手続きをやりなおしたり、と後々面倒なことになりますから、入念に確認したほうが良いでしょう。
相続財産として、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産もあわせて調べるようにしましょう。
相続財産は、家のどこにあるかはわかりません。タンスの奥や、机の引き出し、押入・クローゼット、カバンの中・・・
まさかこんな所に!という場所から見つかることもありますから、くまなく探すことが大事です。
主な相続財産は下記のとおりです。(・・・の後は手がかりになる資料の例です)
プラスの財産
①不動産(土地・家屋)・・・権利証や登記簿謄本
②預貯金・投資信託・・・通帳・金融機関名入りの粗品など
③有価証券(株式・国債・ゴルフ会員権等)・・・株券・優待券・金融機関からの手紙
④動産(自動車・貴金属・絵画・家財道具等)
⑤生命保険(亡くなった方が受取人のもの)・・・保険証書
⑥電話加入権
マイナスの財産
①借金・ローン・保証債務・・・(消費者)金融機関からの督促・金銭消費貸借証書等
②公租公課(未納の税金)・・・役所からの督促・手紙
③買掛金(未払の営業上の代金)・・・請求書など
※注意※下記は相続財産とみなされません
①祭祀関係(墓地・仏壇・遺骨など)
②葬儀関係(葬儀費用・香典・埋葬料)
③死亡退職金
その他、亡くなった方のみに属する権利(一身専属権)
相続人は、多額の借金(マイナスの財産)がある場合、相続放棄の手続きをすることによって、その借金を相続しないことができます。
相続放棄をすることにより、はじめから相続人とならなかったこととみなされます。つまり、プラスの財産も相続できないこととなります。
相続放棄の手続きは、自分が相続人になったことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申立をする必要があります。
このように注意すべき点がありますので、素早く、正確な対応が必要となり、司法書士や弁護士に任せた方が無難な手続きです。
遺言を探し(流れ「2」参照)発見されなかった場合、原則として相続人全員で相続財産の分け方を決めます(遺産分割協議)。相続人のうち1人でも協議に参加していない場合は、その遺産分割協議は無効となります。
全員で協議を行う、ということは、未成年者や判断能力のない者、行方不明者も協議に関与しなくてはなりません。この場合は、親権者や特別代理人(親権者と未成年者の利益が相反する場合)、成年後見人、不在者財産管理人などが本人の代わりに参加することになります。
遺産の分け方にはいくつかの方法があり、また、相続分の算定について注意すべき点もありますから、司法書士に依頼し、あとから揉めないようにするほうが良いでしょう。
なお、遺産の分け方について、話合いがまとまらない、最初から揉めそうだ、といった場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて、専門家を交えて話し合いをすることになります。これによっても話し合いがまとまらない場合は、自動的に審判の手続きに入り、裁判官が分け方を決定します。よって、この場合は弁護士に依頼するほうが良いでしょう。
1~5の流れで遺産が確定し、相続人も確定したら、名義の変更手続き(払い戻し、解約)をしましょう。
不動産(土地や建物、マンションなど)の名義を変更するには、「相続登記」が必要になります。この相続登記は、不動産の所在地の登記所(法務局)にて手続きする必要があります。→相続登記のページへ
相続登記は、特に期限は設けられてはいませんが、戸籍など相続登記に必要な書類の入手が難しくなったり、二次、三次相続が発生して話合いがまとまらなくなったり、といった不都合が生じますので、相続が発生したらお早めに相続登記の手続きをすることをお勧めいたします。
また、金融機関での相続手続きや、生命保険金の受け取りなどの相続手続きもあわせて行うと良いでしょう。相続登記の手続きの際に集めた戸籍などを使うことができます。
相続登記を含め、以上の手続きは全て司法書士が代行することができます。
戸籍等の必要書類をご自分で取得されている方は、それも活用させていただくなどして、なるべく費用の負担が少なくなるよう、配慮させていただきます。また、一部の手続きのみでも承りますので、お気軽にお問合せ下さい。
なお、以下(7.相続税の申告・納税)について、申告書等の作成を依頼する場合は、税理士さんに依頼することになります。全ての方が申告・納税の対象ではありません。もし、必要な場合は、当事務所から税理士さんをご紹介することも可能です。
以下は一般的な知識として、参考にしてください。
相続税の申告と納税は、相続又は遺贈により取得した財産(被相続人の死亡前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産を含みます。)及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合に必要です。
その遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ありません。
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
(例えば、1月1日に死亡した場合にはその年の11月1日が申告期限になります。)
申告期限までに申告をしなかった場合や、実際に取得した財産の額より少ない額で申告をした場合には、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合がありますので、注意が必要です。
参考:国税庁ホームページより
相続手続きについて、無料相談のお問い合わせやご不明な点など、どのようなことでもお気軽にご質問ください。
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